2018年11月22日木曜日

日産会長カルロスゴーン氏逮捕


フランスではどう報道されているのかな?と、いくつかの有名新聞や雑誌をオンラインで見てみた。
経済紙として最も知られているレゼコーは「カルロス・ゴーン:計略にはめられたという説は信頼に足るのか」という見出しで、「ゴーンが拘束されたというニュースが流れると、日本人によって用意されたクーデターではないのかという声が
フランス国内で多く上がった。しかし、ルノー周辺を含め、だれもがこの意見に賛同しているわけではない。」
フランスの二大日刊紙の一つ、かつて左派と言われたルモンドは「カルロス・ゴーン失脚の後、ルノー日産三菱アライアンスの行方は」という見出しで「多くの自動車産業関係者にとって大地震に等しい衝撃」二大日刊紙のもう一つ、保守系の新聞ルフィガロの19日付「カルロス・ゴーン日本で逮捕される」という短い記事には、多くの読者がコメントを寄せている。
読者のコメントには「もしフランス国内で同じことがバレたとしても、ゴーンはちょっと取り調べを受けただけで終わってしまっただろう。外国の検察による厳しい追及がないと、こうした事件はうやむやにされてしまう。」という主旨の論調が目立つ。
この意見にはフランスの銀行ソシエテ・ジェネラルがアメリカで制裁を破り、巨額の罰金を払うことになったことも関係しているのだろう。

2014年にも別のフランスの銀行による同じような事件があった。
やはりフランス系の銀行であるBNPパリバが罰金を科せられそうになった時、当時のオランド大統領はオバマ大統領に寛大な措置をお願いした。
が、オバマ大統領は「大統領は司法に口出しできない」と言って断ったものだった。

三権分立という考え方を最初に作ったのはフランスのモンテスキューだが、今では本国フランスよりアメリカの方が三権分立を守っているということか。

とはいえ、ソシエテジェネラルのケースでは、フランス人に人気の高いキューバにお金を送っていたこともあって、フランス人の反応は複雑である。

ゴーン会長逮捕の話に戻ろう。
「金は持てば持つほど欲しくなる」という言い回しを引用している人も多い
「一部の人間達の野心は本当に病的だ。何億儲けたって、牢獄に入らなきゃいけなくなるんなら、何の役に立つんだ?」
「お金をごまかす億万長者と毎月の収支を合わせるのに苦労する一般的フランス人の隔たりはショッキング」
「マクロン大統領にはまたしても痛手だ」
そのルフィガロは20日に「カルロス・ゴーン、東京で過酷な拘置状況」という見出しで

小菅拘置所は人権団体からよく知られており、通常は彼のような有名人は入らない、とある。
「彼は恐らく独房に入れられ、尋問の間弁護士の付き添いもなく、身内が会えるかどうかも不確かである。おそらく妻のキャロルには会えるのだろう。だが一日15分のみで監視の下、日本語で話さなければならない。夫は少ししか日本語が話せず、妻は全然話せないのだから二人の苦しみは想像に難くない。」

そうなの?
「恐らく」とか「想像」ではなく、実際のところが知りたい。

ルフィガロは21日にも続けて「日本での彼の拘置条件はどのようなものなのか」という見出し。
「カルロス・ゴーンは東京の小菅拘置所に拘束されており、drastique な拘置条件を耐え忍ばなければならない。」
drastique という形容詞は英語のdrasticとほぼ同じで、文脈によって大幅な、徹底的な、猛烈な、等の意味になる。
保守系総合誌ルポワンは11/20付で「カルロス・ゴーンは日産による「クーデター」の犠牲者か」
革新系新聞リベラシオンは「盲目」という見出しで皮肉たっぷりに
「巨額な報酬を受け取りながら、なお足りなかったと見える」とゴーン氏を批判。
「ここまで盲目になるとは。日産を立て直し、ルノーとの困難な提携を成功させ、世界トップクラスの自動車産業を作り上げた。(...)華々しい経歴も彼には十分ではなかったようだ。」

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2018年10月31日水曜日

ハロウィーン、皆で羽目を外せば怖くない?

カボチャ、菊
南瓜と菊
ヨーロッパでハロウィンといえば、お墓参りだった。

そのヨーロッパでも、もちろん人は羽目を外すことがある。

一部のサッカーファンが羽目を外しすぎて周りの人達に迷惑をかけてしまうことなどもある。

だからサッカーなんて大嫌いだ、というヨーロッパ人もいる。
ヨーロッパの人なら皆サッカーが好きなわけではない。

人間というものは、年がら年中、四六時中、真面目にしていられるものではない。
どこかで羽目を外さないと持たないだろう。

要は、それが他の人の迷惑となるかならないか。

日本人はシャイだから、集団にならないと羽目を外せないということもあるかもしれない。
でも、実は羽目を外すのに群れる必要は必ずしも、ない。

例えば、アートの中に自分を解放する人もいる。

海外からやって来たあるダンサーが、日本でグループを作るに当たって嘆いていたことがある。

「みんなで集まった時何かが起こるには、一人の時に練習したり、考えたり、感じたりしていることが前提なんだよ。 
一人で何もしないでいて、みんなで集まりさえすれば何かが起こるとか、誰かが何かを与えてくれるとか思ってやってきても、何も起こらないよね。」

集団練習を休んだことがないからと言って、勤勉とは限らない。

頭の中は勤勉か?
感性は? 

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2018年10月30日火曜日

ハロウィン!ハロウィン?渋谷で軽トラックが倒された!


なぜここまで加熱してしまったのか?

と考えてみると、ハロウィンがかつての祭のような役割を担っているからかもしれない。
日本各地に残る奇祭とハロウィンの違いはなにかと言えば、祭には社会のコンセンサスがあるけどハロウィンにはない、この一つに尽きるだろう。

祭の役割の一つは、一年間真面目に働いてきた人たちが一年に一度羽目を外すことでもあった。
普段真面目に働いているからこそ、羽目を外す時は思い切り外す。

コンセンサスのない「祭」の真ん中に迷い込んでしまった軽トラックには心から同情する。
持ち主の方がきちんと弁償してもらえますように。

トラックをひっくり返してしまった人たちは、今頃我に返って青くなっているかもしれない。
みんなで盛り上がって我を忘れてしまうことを「集団心理」という言葉で心理学者は説明していたけれど、 日本社会で育った人達には、集団心理に陥りやすい人が多いようだ。

イジメの問題もこれと関係しているのだろう。

日本でも、何らかの意味でマイノリティの意識を持っている人は、「みんなの盛り上がり」に乗れないという経験があり、 集団心理に陥りにくい面を持っていることがある。

しかし、「みんな」に加われなかったからこそ、加われる場面では思い切り加わってしまうという人もいるかもしれない。

非行を激減させたある中学校の校長が言っていた。
人は一人でいる時に子どもから大人になるのだ、と。 
みんなでワイワイ言っているときに成長するのではない。

だが、授業が終わってからも夜7時近くまで学校にいて、週末も試合に出かけていくような生活の中で、個を養う時間がどれくらいあるだろう。

大人になっても個が成熟していなければ、集団の中で我を保つのは難しい。

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2018年10月2日火曜日

ノーベル賞受賞の本庶佑さんを見てあることに気付いた


ノーベル医学生理学賞、2018年は本庶佑先生に決定。

昨夜その報せを告げるニュースを見ていて、気がついたことがある。

受賞した研究者があまりにも美男子であることだ。
まるで二枚目俳優。

(これまで受賞した先生方も、もちろん素敵なお顔をなさっていました、念のため。)

今76歳でこんなイケメンなら若かりし頃はさぞかし、と思った。 

今朝、若い時の映像が出て二度びっくり。

ふ、ふつーではないか。

そうか。 

遠い地平線を見つめるかのような眼差し、キリリと結ばれたくちびる、削ぎ落とされた頰。

今のあのお顔は、本庶先生の人生と共に作られていったものなんだ。

続いて仲間によって語られるエピソードは、それを物語るものだった。

時流に流されず、自分が知りたいことを追求する。
若い同級生の死の衝撃によって、ガン治療に興味を持つ。
新薬開発を多くの企業に断られながら、粘り強く交渉を重ねる。 

「男は30を過ぎたら自分の顔に責任を持たなければならぬ」とか言う。
もちろん、それは男に限らない。
毎日の表情が、私たちの顔を彫刻していくからである。

ということは、私たちにもチャンスがあるということだ。

ノーベル賞を取るチャンスのことではない。

76歳になった時に、若い時よりも美しい顔を持つチャンスである。 

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2018年8月11日土曜日

塾の選び方を現役講師に聞いた - 意外なポイントとは


夏休みといえば、海、山、おじいちゃん、おばあちゃんの季節だが、塾の夏期講習の季節でもある。

これからお盆で、夏期講習も一息つく塾が多いようだ。

複数の塾で講師をした経験があり、数多の受験生を合格に導いた友人に先日愚痴を聞かされた。

塾をどうやって選んだらいいか迷っている方や、これから塾で教えたいと思っている方にも参考になりそうな話だった。

難関校狙い専門の塾もあれば、いわゆる補習塾もある。
一クラスの人数が多い塾もあれば、少ない塾もある。
しかし、塾選びのポイントは、そうした外から見て分かることだけではないと言う。

校風があるように、塾にも塾風があると彼女は言う。
勉強を教えるだけではなく、生徒と良いコミュニケーションを取る必要がある。
そこまではどの塾でも同じだが、良いコミュニケーションの意味が塾によって異なるそうだ。
同じ系列の塾でも、居住区域によって雰囲気が変わることも多いらしい。

ある塾では、教師と生徒は親しくてもケジメがあることが良いコミュニケーションだし、別の塾では教師と生徒が馴れ合っているのが究極の良いコミュニケーションとされる。

ある塾の子どもたちは教師がダジャレを言うと白けるが、別の塾では歓迎される。

真剣に勉強する子を育てようとしている塾もあれば、サービス業だからとにかく笑いを取らなくては!という塾もある。

「楽しく勉強する」の「楽しく」にも色々あるということ。
ところが、講師が研修の段階で言われることに、さほどの違いはないそうだ。

だから、講師としては入ってみないと分からないということになる。

生徒と保護者の立場だと、体験入塾ができればいいが、そうでない場合は信頼できる人に聞いてみるしかない。

子どもが満足していても、なぜ満足しているか確かめる必要があるし、逆に不満だとしても、問題があるからだとは限らない。

塾風が合う合わないは人によって違うので、良いか悪いかではなく、教師と生徒の関係がどんな感じかを確かめた方がいいだろう。

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2018年7月20日金曜日

常田富士夫さん、暑中お見舞い申し上げます

常田富士夫さん
またとない個性
忘れえぬ存在

市川悦子さんとの
『まんが日本昔ばなし』
いつ見ても
すっかり引き込まれて

本当にありがとうございました😢💐

2018年7月14日土曜日

老いた親が障害のある子どもを殺すという事件はなぜ止まない 2



親が心配のあまり子どもの命を奪ってしまうという事件。
実は、社会と個人の関係とも絡んでいるのではないかと思う。

日本では、家族という集団が他者である外部に閉じられている。

自分の子どものことは自分で何とかしなければならない。
他人様に迷惑を掛けてはならない。

子どものことだけではなく、年老いた親や夫婦間の介護もまた同じである。

自分がいなければこの子はおしまいだとしか思えない。
神様が面倒を見てくださるだろうとも思えないし、世間様が面倒を見てくれるだろうとも思えない。

そのような家族観に合わせるように、またはそのような家族観を利用するかのように、社会保障もまた貧弱である。 

個人主義であれば、誰でも社会の中の個人であることに変わりはない。
ケアが必要な人を社会全体で見る社会保障の考え方も馴染む。

助けが必要な人には赤の他人であっても手を差し伸べる、それが連帯という言葉の意味でもある。

しかし、家族という集団が分割しうる最小の単位で個人が存在しなければ、社会が個人と繋がることは不可能である。

かつては大家族が一般的だったからそれでも機能したのかもしれないが、頼みの家族が小さくなった今、家族主義は非力である。

高齢化が進まなくても難しいのに、高齢社会で核家族が社会から孤立したら生きていけなくなる。

障害のある子どもを抱え、自治体に相談したが何もしてもらえず、結局悲惨な結末となった例もあった。

一皮むけば悲惨な社会 - それでは誰一人心から安心して暮らせない。

新しい考え方、新しいシステムが必要なのだとあらためて思う。


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2018年7月12日木曜日

老いた親が障害のある子どもを殺すという事件はなぜ止まない

しばらく前になるが、 年老いた母親が心臓に障害のある娘を殴って死なせてしまうという痛ましい事件が起こった。

母親は自分がいなくなった後、娘がどうなるのかと思いつめてしまったという。

この種の事件が後を絶たないのはなぜだろう。

実は西洋では極めて少ない。

一つの文化圏が別の文化圏より倫理的に優れているとか劣っているということは普通考えられないが、こうした事件に関しては日本の方がずっと多い。

その説明としてよく引き合いに出されるのがキリスト教の影響である。

子どもの命は親のものではなく、神のものだから、それを奪うのは恐ろしい罪だとされる。

同じ理由で自殺もまたタブーである。

自分の命もまた神のものだから、自ら命を絶つことは神に対して罪を犯すことになる。 

私は別の説明をフラン人の母親に聞いたこともある。

「私たちは、その子が生まれたいから生まれてきたと考えるんです。」

そういえば、「生まれる」というフランス語は能動態で表される。
日本語でも英語でも受け身なのに。

「産む」に対して「産まれる」「生まれる」があり、bearに対してbe bornがあるのだが、フランス語には「生まれる」という独立した一つの言葉がある。

フランス語で初めてこの言葉を習った時、私は少なからず驚いたものだ。 

しかし、理由はこの二つだけではないと思われる。

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2018年6月30日土曜日

日本の警察はフランスの警察に倣って作られたとか


現代の日本の警察の基礎はフランスに倣って作られたものだそうだ。

私はこれを司馬遼太郎さんの『翔ぶが如く』を読んで知った。

初代大警視となった川路利良はフランスに視察に行った際、大切なカバンを無くしてしまった。

もう見つかるまいと思っていたが、警察から連絡があって行ってみるとカバンが届けられていた。

中身を確かめるよう言われて見てみると、何も無くなっていなかった。

日本ではあり得ない!と川路はすっかり感心し、これから作られる日本の警察もこうでなくてはならないと思った…

確かこんな話だったと思う。

現代の私たちにとっては、この話は何重にも驚きである。

当時は日本よりフランスの方が治安が良かったのか!

今日本の観光客がパリに行ってカメラを置き忘れたら、絶対に戻って来ないという印象がある。
(実際にはそれほどではないのだけど)

もう一つの驚きは、戦前戦中の恐ろしい警察のイメージとあまりにも違うことである。

とはいえ、『火垂るの墓』(アニメ版)に出て来る警察官は、飢えのあまり畑の作物を盗んだ少年に思いやりを見せている。

また、赤塚不二夫さんが子どもの頃、お父さんは満州で警察官をしていたと聞いたことがあるが、赤塚さんの初期の漫画には優しいお巡りさんが出て来る。

ということは、特高警察と一般の警察官は違うものだったということか。

それとも、優しいお巡りさんに別の顔があったのか。

いずれにせよ、「日本警察の父」の頭に最初に宿ったコンセプトは、市民に近いところで市民に奉仕する警察だったらしい。

それはまさに、私の幼い日の思い出の交番と重なる。 

冒頭の写真はパリの騎馬警官。
フランスでは今でも警官が馬に乗って業務に当たることがある。


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2018年6月29日金曜日

交番襲撃事件 ー 幼い日の交番の想い出


銃の発砲事件は日本では珍しい。

しかも凶器は交番の警官を殺害して盗んだものだった…

まるでどこか他所の国で起きた事件みたい。

だが、日本だから起きた事件だとも言える。 

どこの国にでも交番と言うものがあり、おまわりさんが道を教えてくれるなどと思ってはいけない。

そして日本の交番には、誰もが入って行くことができる。

幼い頃、友達と遊んでいて十円玉を一つ拾った。

「十円玉だ。どうする?」
「道に落ちてるものは交番に届けるんだよ。」
「だよね。」 

というわけで、私は誰かの大切な10円玉を握りしめ、友達と一緒に駅前の交番まで行った。

すると若いお巡りさんは同僚と相談し、私たちに真面目な顔で5円づつくれた。

今思うと、彼らのポケットマネーだったに違いない。

将来の良き市民はこうして、落ちているものは正直に交番に届けるのだということを学んだ。

あの日突然刃物で襲われた警察官も、こんなお巡りさんだったかもしれない。
拳銃で襲われた小学校の警備員も、 こんな警備員さんだったかもしれない。


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2018年6月24日日曜日

新幹線殺傷事件で思う連帯という言葉の意味 -4- 個人主義とは


 

西洋は個人主義だと言われる。

個人主義という言葉が何を意味しているかは難しい。
というか使われ方が曖昧で、フランスですらいい加減に使っている人が多いという印象だ。

いずれにせよ、個人主義だからチームワークがないということにはならない。
チームワークというものは、それなりにどんな文化にもある。
人類が協力して大自然の中で暮らしていた、原始の時に始まったものなのだから。

個人主義の観点からチームワークを見れば、チームとは独立した個人が連携して仕事をするということになるのだろう。

一方、個人主義でない場合というのは、集団が先にあるということになるのか。
だとすれば、個人は集団に依存する「部分」だから、その集団を離れて個人のみでは動けないということになる。

つまり、自分が所属している集団の中では力を発揮できるが、その外に出た時に他者と繋がることはできないということだ。

もちろん、西洋が100%個人主義でアジアが100%集団主義(?)だなどということはあり得ない。

ただ、「連帯」が「団結」とも「助け合い」とも違う理由はここにあるのかもしれない。

個人主義が人間を信じるとすれば、集団主義は自分の集団のみを信じる。

人間を信用していなければ、自分と自分の集団(家族や国家)だけを守ろうとするのは当たり前だ。

だから、人間を信頼することがなければ、「連帯」はありえない。

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2018年6月20日水曜日

新幹線殺傷事件で思う連帯という言葉の意味 -3-



ワールドカップの初戦で日本がコロンビアに勝つという快挙を成し遂げ、渋谷に集まっていた人々は沸き返った。

普段、東京では知らない者同士が声を掛け合うということは少ない。

「サッカー」という共通項で、見知らぬ人々が喜びを共にした。

これもスポーツの効用にちがいない。

普段の生活に戻れば、日本人が知らない者同士で声を掛けにくくなったのはいつからだろう。

都市部と小さな町、村でも違いがある。

ある若いフランス人の女の子が東京で生活した時の話だ。

彼女は東京が好きだったが、人と人との関係が疎遠だとも感じていた。

ある日、駅で転んでしまった。

大したケガをしたわけでもないが、とても寂しくなってしまったと言う。

誰も声を掛けてくれなかったからだ。

休暇でパリに戻った時、階段でちょっと躓いたら、周りから一斉に
「大丈夫ですか。」
と言われて安心したとか。

私も、パリで始終同じような光景を目にした。

パリのメトロでベビーカーを使っていた時は、いつも他の乗客に手伝ってもらったものだ。

フランスはドイツほどバリアフリーが進んでいない。

日本人はシャイだから、大ごとでない限り声を掛けられないのだろうか。

大災害でも発生しない限り、私たちは「助け合いの精神」を発揮できないのだろうか。

しかし、それでは説明がつかない。

十年以上前に、若い男性が駅のホームで死ぬまで殴られるという事件があったのを覚えているだろうか。

混み合う時間帯でホームに人が溢れていたのに、誰も関わり合いになろうとしなかったという事件である。

その時犯人は、銃もナタも持ってはいなかった。

自分のすぐ近くで一人の人が殺されていくのに、反応しない群衆。

私たちの社会は一体どうなってしまったのだろうと戦慄した人は少なくなかったのではないか。


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2018年6月16日土曜日

新幹線殺傷事件で思う連帯という言葉の意味 -2-


(前回よりの続き)
新幹線殺傷事件を知って私が思い出した出来事とは、次のようなものだった。

知人のフランス人が東京を旅行していた時、ある駅の近くで一人の男が通りがかりの人たちに暴力を振るっているのを見た。

お年寄りや子どもを殴り、子どもは泣き出したと言う。

そのフランス人は日本語はあまりできないのだが、その男の肩を掴むと壁に押し付けた。

すると幸いなことに、男は大人しくなった。

ところで、その時フランス人が驚いていたのは事件そのものより周りの人の反応だったという。 

他にも大勢人は通ったのだが、誰も介入しなかった。
むしろ関わり合いになるのを避けているようだった。
自分が男に働きかけた時も、誰も加勢に来なかったというのである。

それは、今回新幹線の中で起こった凶悪事件とは比べものにならない、些細な出来事であった。

今回のように相手が素手ではなく、ナタを振り回している時に何ができるだろう。

それでも亡くなった梅田さんは、不断の信念に基づいて、恐らくとっさに行動したのではないか。

女性が一人で殺されてしまった、誰も助けようとせずに、という結末にはならなかった。

関わり合いになった人がいたから。

そしてその人は犠牲になってしまった。 

一人で。


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2018年6月13日水曜日

新幹線殺傷事件に思う連帯という言葉の意味


フランス語や英語でよく使われる言葉で日本人があまり使わないものの一つに、「連帯」がある。

日本語で連帯と言うと左翼活動家みたいになってしまうのだが、フランスなどでは政治的な意味に限らず色々な場面で使われる言葉だ。

「連帯」、英語でsolidarityフランス語でsolidarite (最後のeの上には何か付きますが、文字化けする恐れがあるのでここでは省きます)。

日本語では「団結」と訳されることも多いが、「団結」では合わないことも多い。

日本語で強いて説明すれば、困っている人への共感とか、窮地に陥った人の立場に立って、自分のこととして考え、行動しようとする意識と言えるだろう。

日常的な場面で使われる場合は、「助け合いの精神」が近い。

だが、「助け合い」では困ることもある。

例えば、難民を受け入れる時やテロが起こった時だ。

「テロの犠牲者とのsolidarite」を訳そうとすると、助け合いでもおかしいし団結も違う。

最近よく使われる「つながる」 という動詞が合っている。

なぜこんな話を長々とするかというと、フランス人の知人が東京を訪れた時の出来事を思い出したからだ。

新幹線で突然男がナタを振り回し、 切りつけられた女性を助けようと立ち向かった男性が一人で殺されてしまったというニュースを聞いた時に。
(つづく) 

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2018年6月12日火曜日

家庭での児童虐待を防ぐには - フランスの子育て支援センター -2-


PMIは、いわばフランスの子育て支援センター。

PMI - Protection Maternelle et Infanile
母子保護という意味で父親という言葉は入っていないのだが、1945年に設立された当時、イクメンは少なかったものと思われます。

目的は子どもと親を助けること。

親を助けることは子どもを助けることにもなる。

虐待をする親の多くが自分自身問題を抱えていることが多いからだ。

2000年代初頭には、幼稚園前の子どもが集団生活に慣れるよう、週2回2時間くらいづつ無料で預かるというサービスも行っていた。
今も続いているかもしれない。

もちろんおもちゃや絵本もあるし、様々なイベントも組まれる。

と書いてくると、PMIっていいな、と思われるかもしれない。
私もなかなかいいシステムだと思う。

ただ、重要なのはシステムだけではなくてそこで実際に働いている人間たちである。
フランスでは、残念ながら全くやる気を感じられない人たちもこのセンターで働いていた。
当たり外れが大きいと思っていた方がいいだろう。

フランスにはこんなジョークがある。
「公務員と失業者の違いがわかるか?
失業者は、一度は働いたことがあるってことさ。」

とはいえ日本にもこんなセンターがあったらと思う。
普通の人がたいていの場合、与えられた仕事を真面目にやる日本でこそ、こういったセンターが力を発揮すると思う。

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2018年6月11日月曜日

家庭での児童虐待を防ぐには - フランスの子育て支援センター


日本ではまだ親が社会に信頼されているという感じがするが、フランスで子育てしていた時はそうではなかった。

学校を二日以上欠席する時や水泳に参加できない時は、必ず医師による証明が必要だった。
親が休んだ方がいいと判断して休ませることができるのは一日だけだったと思う。

診断書にお金がかかるということはなく、診察さえ受ければ簡単に出してくれる。
そして学校は、子どもたちの出欠状況等を教育委員会に報告する義務がある。

虐待されている子どもは学校を休むことが多いので、子どもがきちんと学校に来ているかどうか把握するのが重要ということなのだろう。
水泳の授業で裸になれないということは、あざや傷を隠している可能性もある。

日本では学校でのいじめなどが原因で長期欠席をすることも多く、事情は同じではない。

が、いじめや引きこもり対策のためにも、出欠状況を把握するのは有効だと思う。

学校へ行く前の子どもはどうかと言えば、PMIという保健所兼児童相談所のようなところがあり、無料で予防注射や相談が受けられる。

常駐の医師はいないが、巡回で医師が訪れ、幼い子どもの定期検診を行う。
無料で予防注射を受けることもできる。

定期検診は義務付けられているので、検診に来なければ、何かおかしいということになるのだろう。

保育士は常駐しているので、相談にのってもらうこともできる。

赤ちゃんの体重計もあり、いつでも使わせてもらえる。
私は子どもが小さく生まれたということもあり、最初の頃は毎日そこで子どもの体重を測っていた。
(つづく)

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2018年6月10日日曜日

目黒で五歳の子が虐待死 - 子どもを守る法律、海外ではどうなっているの?


「どうして助けてあげられなかったのか。」

目黒で5歳の女の子が虐待死した事件を受け、こう思った人が多かったことだろう。

私もその一人。

児童相談所が虐待の事実を掴み、二度も施設に入っていたのに。

これまでも似たようなケースがあり、その都度なぜ救えなかったのかという声が挙がった。

児童相談所が手一杯だからなのか、それとも、法律が整備されていないからなのか。

家庭内での子どもの虐待は残念ながらどの国にもあるが、 法律による対処の仕方は国によって違う。

目黒の虐待死のようなケースであれば、フランスなら恐らく、親は強制的に子どもを取り上げられていただろう。

フランスの法律のことも私は詳しいわけではないい。

ではなぜそう思うかというと、虐待ではないのに間違いによって子どもが親から引き離されたケースが報道されたことがあるからだ。

それは極度に骨が脆くなる病気を患っていた女の子の場合で、確か複数箇所骨折していたのだと思う。
医師が虐待を疑い、通報したために親子が引き離されてしまったということだった。

後に両親は裁判を起こし、勝訴しているから、手続きに何か問題があったのかもしれない。

親から引き離されていた女の子は判決の感想を求められ、
「うちが勝って良かった。」
と答えたという。

親子を引き離すということは、一歩間違えれば別の大きな悲劇を引き起こしかねない。

しかし、何らかの法的な整備をし、一定の条件で強制的に引き離せるようにしないと、同じような事件はまた起きてしまうのではないか。

結愛ちゃんの場合二度も施設にいたというが、施設に入れる条件や親に返す条件はどのように決まっているのだろう。

児童相談所は母親に関与しないで欲しいと言われたそうだが、強制的に介入できないものなのか。

相談員が児童に会いに行って会えなかったらどうすると決まっているのだろうか。 

子どもは無論国のものではなく自治体のものでもないが、親のものでもない。

子どもは誰のものでもないから。 

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2018年6月6日水曜日

炭酸水をフランスではどう使っているか


先日NHK朝イチで炭酸水の特集をやっていた。

そこで私があっと驚いたのは、専門家らしきゲストの方が

「炭酸水に飲み過ぎはない。」

とおっしゃっていたことだ。

フランスでは、医師達は炭酸水を飲み過ぎないよう注意を促すことがある。

もちろん炭酸水にはいいこともたくさんある。

その中の一つは、番組で紹介されていたように、食事をとりながら飲めば消化を助けるということ。

炭酸水と一口で言っても、自然なガス水もあれば、フツーの水を発泡させたものもある。

天然のガス水ならミネラルがとれるという利点もある。

ただ、幼い子どもなどミネラルをうまく消化できない人は気をつけた方がいいだろう。

我が家の子どもは、天然のガス水を飲んでいい年頃になった時、ガス水が大好きになった。

フツーの水を飲むのを嫌がり、ガス水しか飲まないようになってしまったくらいである。

お腹が痛くなって医者に行くと、ガス水を控えるよう言われた。

こちらから「ガス水しか飲まない」と言ったわけではないのだけど。

他に控えるよう言われたのは柑橘類。

要するに、胃を刺激し過ぎてはいけないということだったらしい。

その点で天然のガス水と人工的に発泡させた炭酸水とで違いがあるかどうか私にはわからない。

が、フランスの内科医は、天然モノはダメだけど人工のはいいとは言ってなかった。

自分の体調に聞くのが一番なんだと思う。

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2018年6月1日金曜日

アメフト不正タックルと道徳の時間


まず、日大側の誰よりも早く誰よりもはっきりと謝罪した加害者の学生に敬意を表したいと思います。
声明文を発表した日大アメフト部の部員の皆さんにも。
そして、被害を受けながら加害者学生の復帰を望んでいる関西学院大の学生にも。

内田監督と井上コーチがいかに言語道断であるかについては既に多くが言われているので省きます。

「教育ではない」という指摘がありましたが、それどころの話ではなく、犯罪の領域に入っていると言うべきでしょう。

しかし、殆どの人は内田監督のようなことをしてしまう危険はないでしょう。

では、内田監督のような人が自分の上に来たら、どうでしょう。
自分は井上コーチのようにはならないと断言できるでしょうか。

今年から道徳教育が教科になりました。

日本で特に教えなければならない道徳とは、どんな道徳でしょうか。
多くの日本人が特に学ぶ必要のある道徳とは。

それは、上からの命令が間違っていれば、従ってはいけないという教えではないでしょうか。
自分の頭で考えなければならないと自分を律することではないでしょうか。
おかしいことがあったらおかしいと言える徳ではないでしょうか。

たとえ命令されても不正タックルなどするべきではなかった - 
加害者となった学生の言葉はとても重いものです。
指示に盲目的に従ってきてしまった - 
部員たちの反省は実に的を得ていると思います。

どんな組織にいても、ある日自分の上にとんでもない人が来てしまうことはあり得ます。
道徳的な岐路に立たされた時、どんな行動を取るか、また取らないか。

自分だったらどうするだろう・・・
自分だったらどうしただろう・・・

今回の事件は、私たちにとってまたとない道徳の授業となりました。
後悔先に立たずと言いますが、日大の学生たちの反省を、自分の道を照らすランプとして先に掲げて行きたいと思います。

2018年5月19日土曜日

お家ディナーでフランス人に喜ばれた料理とは3 - 肉を味噌とヨーグルトに漬ける



前の記事に続いて肉の漬け置きレシピです。

ヨーグルトと味噌を混ぜ、肉によくまぶして冷蔵庫で寝かせる。

半日は置くこと。

後はフライパンかオーブンで焼くだけ。

味噌とヨーグルトのダブル酵素で肉が柔らかくなり、味噌だけの場合より塩分が少なくてまろやか。

ヨーグルトと味噌の量や配合はお好みで。
普通はプレーンヨーグルトを使っていたが、フルーツヨーグルトでもおいしい。

一度この漬け置きを生のまま冷凍庫で保存したことがある。

解凍して焼いたら、肉がとっても柔らかくなっていた。

解凍は時間をかけて冷蔵庫でするのがお勧め。

肉は一般に焼く20分くらい前に冷蔵庫から出して室温にしておくと美味しく焼ける。

このレシピに合うのは鶏肉、豚肉、そしてラム肉。

これもやはり大人には好評だったが我が家の子どもには不評。
塩とハーブ、またはスパイスだけで焼いた方が好きだということで・・・

というわけで、最近これも作ってなく、写真がなくてすみません・・・

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2018年5月16日水曜日

お家ディナーでフランス人に出して喜ばれた料理とは - 2



私が試してみて好評だったものの一つに肉の漬け置きがある。

どんな肉にも合うのでお試しあれ。

その1
肉を一口大か二口大に切る。
リンゴをすりおろし、肉にまぶしてよく混ぜ、冷蔵庫へ。
半日くらい寝かせておくのがいい。
オーブンかフライパンで焼いて、焼きあがった頃、鍋肌から醤油を少々かけ、醤油にも火を通す。

リンゴが肉をやわらかくしてくれるし、酸味と甘みがほどよく加わって、ヘルシーな照り焼きになる。

焼き時間は肉の大きさと切り方によるが、フライパンで焼くなら、アントレの終わりごろにさりげなく台所に立つのがいい。

フライパンにオイル少々を熱し、まず強火で両面を焼く。
その後は肉の種類にもよるが、火を弱めて中まで火を通す。

オーブンを使う場合は、焼きすぎて固くならないよう注意。
時々台所に行って確かめるのがいい。

肉に塩分を加えるのは焼きあがってから。
そうすると肉の水分や旨味が出ないでおいしくいただけます。

肉の付け合わせとして好まれるのは、ジャガイモ、ニンジン、グリンピース、インゲン、キノコ、コメなど。

タイやインドの香り米もフランスでは人気が高い。

そうそう、バゲットはアントレからメイン、チーズまで、ずっとテーブルに出しておこう。
米を付け合わせにするときも、バゲットがあった方がいいです。

次回、肉の漬け置きのもう一つのレシピをご紹介します。

大人には好評だったこの味付けだが、我が家の子どもの口には合わなかった。

というわけで最近あまり作ってなかったため、料理の写真がなくてすみません・・・

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2018年5月12日土曜日

お家ディナーでフランス人に出して喜ばれた料理とは - 1


フランス生活のおもてなしで、ディナーに何を出したら喜んでもらえるだろう。

スシが外国人に好評だとはいえ、生魚が苦手な人も普通にいる。

最近はラーメンの人気が上がっているようだが、ディナーのメインとして、フランスではパスタや麺は認められない。

(アントレにミニ・ラーメンを出したら喜ばれるかもしれない。
麺が伸びないように気を使うけど。)

では、どんなものが一般的に好まれるかと言えば、 鶏肉や牛肉なら間違いはない。
もちろん相手がベジタリアンやビーガンでなければの話。
豚肉でもいいが、稀に食べない人もいる。
予め食べられないものが無いかどうか聞いておくのは、どこの国でも必要だ。

さて、肉をどのように調理すればいいのか。

欧米では招いた人が台所にこもりっきりというわけにはいかないので、タイミングがあまりにも難しいものは避けるべき。

おススメは、煮込みやオーブンを使った料理の他、下ごしらえを済ませておいて、焼くだけにしておくというもの。

次回は、実際におもてなし料理として作ってみて好評だったものをご紹介します。

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お家ディナーのメイン - フランスのおもてなし - パスタはメインにならない


久々で、フランスやベルギーでのおもてなしについて。

お家ディナーのアントレについて前に書いた。

メインに移る前には必ず「もう少しいかがですか。」と聞くこと。
もちろん、もうお代わりの分が無かったら聞けないけど。

メインは普通、肉か魚に野菜の付け合わせとなる。

フランスでは、人を招いた時にパスタをメインに出すことはない。
(学生なら話は別です)

麺類が好きな人には驚きかもしれないが、麺はフランスではご馳走にならない。
パスタでも、ラザーニャなど手がかかった感じがするものは別のようだが。

日本には麺の伝統がある。
美味しい麺を上手に茹でてシンプルな汁と共に供するのは最高のおもてなしの一つだ。
が、フランスでご馳走と言えば肉か魚である。
パスタだと、安上がりという印象になる。

かつて日本では
「欧米ではスパゲッティってアントレなんだってね。
どんだけ食べるんだろ。」
という話もあったが、これは量の問題ではない。
欧米諸国でも最近は健康のために食べ過ぎないよう気を付けるのが普通。
イタリアのことは知らないが、フランスでアントレにスパゲッティが出てくることはまずない。

考えてみると、フランスには麺の伝統が無い。
フランスのレストランでパスタを注文すると、大抵は茹で過ぎで出て来ることからもわかる。

イタリアと国境を接しているのになんで?
と思うのだがしょうがない。

ヨーロッパに行けばどこでもイタリアのように美味しいパスタが食べられると思ったら大間違いである。

ベルギーに行くと、その辺の事情はちょっと違う。

イタリアからの移民が多かったおかげだろうか、街中でイタリアグルメにお目にかかる確率が高い。
ブリュッセルでは、イタリア料理の食材屋さんやお惣菜屋さんも珍しくはない。

話が逸れてしまった。
初めてパリのレストランでパスタを食べた時のトラウマがまだ癒えていないらしい。
当時は、フランスは美食の国だから何でも美味しいはずだと思っていたのかもしれない。
イタリアとの距離の近さを信頼したのかもしれない。

しかし考えてみれば、日本の中華料理というのも、かつては日本人の口に合うようアレンジしたものばかりだった。

きっと、フランスにも美味しいパスタ屋さんがないことはないと思う。 

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2018年5月5日土曜日

5月1日はメーデーであると同時にスズランの日 - フランス - 2

今日は子どもの日であると同時に端午の節句。

子どもたちにとって楽しく健やかな日となりますように!

さて、前回のブログの続き。

5月1日にスズランを贈るという古い風習が消えた後で、なぜメーデーをきっかけに復活したかについて。

フランスで最初にメーデーのデモが行われたのは1889年。
その3年前の5月、アメリカではデモの参加者が警官によって射殺され、警官の側にも死者が出た事件があった。

当時の工業国では、一日に10時間から12時間働くのが当たり前だった。
もちろん、フランスにもバカンスなどはなかった。
彼らが要求していたのは一日8時間の労働と日曜日のお休み。
それだけ。

ところが1891年、フランスでも警官の発砲によってデモの参加者が9名犠牲になるという事態に。

これをきっかけに、5月1日は労働者の権利を巡る闘いのシンボルとなる。



デモの参加者は当初、赤い野ばらをボタン穴に差していたそう。

この野ばらが、かつての習わしを思い出してスズランに代わったという説がある。



一日8時間労働という決まりが国会を通ったのと同年の1919年、メーデーはフランスで祝日となる。

ベルエポックの時代には、5月1日に有名デザイナーがお針子や顧客にスズランを贈ったとか。

クリスチャン・ディオールがスズランをメゾンのシンボルとしているのも、そこから来ているに違いない。


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2018年5月2日水曜日

5月1日はメーデーであると共にスズランの日 - フランス


5月1日、パリ市南にあるランジス市場(いちば)の代表が、パリのアンヌ・イダルゴ市長に大きな鈴蘭の花束を贈呈した。
4月末にはマクロン大統領夫妻が花束を受け取っている。

フランスでは、5月1日に多くの人がお母さんやパートナーにスズランの花を贈る。
大統領やパリ市長が受け取ったものに比べると、ずっと小ぶりだが。

この日だけは、普通の人や非営利団体が街角で花を売っていいとあって、ボーイスカウトにとっては稼ぎ時である。

ただし、正規の花屋さんからじゅうぶんに距離を取ること、森などで摘んだスズランであることなどの条件がある。
素人は、栽培農家から仕入れた花を商ってはならない。

5月1日にスズランの花を贈るという風習は古く、1560年にさかのぼる。
当時の国王シャルル9世に、ナント市の青果商人が幸運の印として贈ったのが初めとされている。
やがて全国に広まり、親しい人や好きな人にスズランを贈るようになったようだ。
今では他の欧米諸国でもスズランを贈りあう。

ただ、16世紀から今日までずっと続いていたかというと、そういうわけではないらしい。
一度なくなっていた習慣が、メーデーを機に復活したということである。

なぜメーデーにスズラン?
続きは次回に。
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