2014年5月20日火曜日
母の日 嬉しくて悲しいプレゼント
ベルギーでもフランスでも、母の日の前になると、子供達は、学校や幼稚園で何かプレゼントを作ります。
今年私がもらったのは、自分で書いた詩と、お花の形の温度計でした。
子供は今4年生ですが、学校で自由に文章を書かせてもらったのは、初めてです‥フランスでもベルギーでも、子供達が学校で勉強させられるのは、正しく読み書きすることばかり。遅くとも3年生になると、文法用語もばんばん入ってきて、文の要素を分析します。
分析はするけど、綜合はいつするのでしょう?絵日記とか自由作文は一切無しです。題を決めた作文でさえ、行事の後に2、3行感想を書くだけ。子供達に自由に文章を書かせるのは無意味だと思われているようです。(このことについて書き始めると、あらためてがっくりしてしまいます)。
このあたりの事情は、同じヨーロッパでも、国によって大きな違いがあります。同じ学校に子供を通わせているイギリス人のお父さんと話したところでは、イギリスでは低学年の頃から自由に文章を書かせるそうですし、小学校中学年ともなれば、ずいぶん複雑な文章を書く子供も出てくるようです。
ドイツやアメリカのママたちも、フランスやベルギーの小学校が、子供達に創造する機会を与えないことにあきれ果てています。
北欧の国々が教育で大きな成果を上げているのは、こちらにも少しは聞こえて来ていますが、本気で取り入れようとする動きは見られません。
お花の形の温度計も、最初からできあがったものに、色を塗っただけです。(ムスコは、せめて蜂を描き込みましたが)。そして、それは幼稚園の時から同じことでした。子供が初めて持ち帰った母の日のプレゼントは、石に色を塗ったものでした。紺色の地に、鳥の形がオレンジ系で塗ってありました。
私が「まぁ、素敵ねえ。」と言うと、
「鳥の形は最初から描いてあったから、色を塗っただけだよ」とムスコ。
「(絶句)‥いい色をえらんだねえ。」
「色は先生が選んだんだよ」
私はひっくり返りそうになりました。
今回、詩を書くにあたって、他の子供達はずいぶん苦労していたようです。ムスコは日本の学校に通ったこともあり、家でも色々自由に作っているので、
「ぼく、どんどんアイディアが浮かんできて、あっという間に書いちゃったよ」
と言っていました。自分の気に入ったことだけは、すぐやるタイプです。
ちゃんと韻を踏んであって、生き生きとした詩ができました。母の日の工作ということで、成績にも入らないし、先生の裁量で自由に書かせてもらえたのでしょう。この年になると、図工も音楽もありませんから。(去年もありませんでしたし、いつから無いのか、正確に覚えていません)。
フランスは芸術の国ではないか、という声が聞こえてきそうです。でも、フランスがアートの中心だったのは、20世紀の中程までです。(今でも近代の芸術作品の売買という意味では、パリは中心です。ただ、現代アートと写真は、売買の方でも中心とは言えません)。そして当時は、7、8歳まで幼稚園にも学校にも行かず、自由にしていた人も多かったようです。今では、おしめさえ取れれば、2歳から幼稚園に行けます。そして、朝から夕方5時過ぎまで幼稚園にいる子も多いのです。楽しくいられればいいのですが、幼い子供達を怒鳴りつける先生が多く、「いつも誰か泣いているよ」。
まだ混沌として、よく整理されていない、幼い子供達のやわらかな頭。大芸術家さえ羨むような創造性が、そこにはうごめいています。それを、2歳の時から四角い型に押し込めてしまったら、どうなるのでしょう?
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