2015年12月1日火曜日

宗教の問題なのか

原理主義者によるテロが起きると、必ずといっていいほど、「だから宗教なんてない方がいい」という人たちが出てくる。

フランスやイギリスからISに加わる若者たち。一体どんな家庭で育ったのだろう‥。それに答えるレポートが発表された。2014年2月、フランスでは、若者が過激化するのを防ぐため、文化人類学者が率いる防止センターが設立された。すでにシリアに発った若者や、ISなどの組織に加わろうとしている若者の家族は、このセンターに連絡して支援を求めることができる。

センターに連絡してきた約120家族の内訳は次の通り。

無宗教の家庭が80 % 祖父母のどちらかが移民であった家庭はわずか10 %

所得で分けると、

中産階級67 % 低所得16 % 高所得17 %

若者の年齢は15 – 21歳

センターに連絡しなかった家族もいるだろうから、この内訳が、過激化した若者の現実を全て表しているとは到底言えないだろう。

それでも、120家族といえば、ごく一部とはいえない。なぜ無宗教の家庭から原理主義に走る若者が、そんなにも多いのか。

一つには、若者というものは、常に親に反抗するものだという理由が思いつく。

しかし、思春期に至るまでに、親はどんな価値観を伝えていたのだろう。

たとえ、親自身は信念を持って無宗教であることを選んでいたとしても、子どもたちに、その信念は伝わっていたのだろうか。

単に家庭で宗教を小馬鹿にしたり、けなしたりするだけでは、宗教に代わる何かを与えることはできないだろう。シリアに発った若者たちの親の中には、イスラム教を毛嫌いしている人も少なくないと言う。

「希望も目的もなく、『何か』を探している」とフェースブックに書いたら、ISから勧誘を受けたという少女もいる。それ以来彼女はISと連絡を取り続け、親が気付かなかったら家出していたところだったそうだ。

思春期の多感な時期に、人生の意味を探す人は多い。その時、神も哲学も友情も倫理もなかったら、どうしたらいいだろう。何か確かなものにしがみつきたいと思うのかもしれない。十分な思考訓練もできていなかったら、ISの単純で過激な言葉は、わかりやすい答えになってしまうのかもしれない。


(今回の記事は、フランス紙ル•フィガロとリベラシオンの以下の記事をもとに書きました。)

http://www.lefigaro.fr/actualite-france/2014/11/18/01016-20141118ARTFIG00158-le-profil-inattendu-des-djihadistes-francais.php

http://www.liberation.fr/planete/2014/09/14/la-radicalisation-des-futurs-jihadistes-est-rapide-la-plupart-sont-des-convertis_1100395

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