おもちゃは箱を
飛び出して
踊るおもちゃの
チャ、チャ、チャ!
子どものころ、さんざん歌ったものだ。その時は、ただ楽しんでいたけれど、今改めてこの歌詞を見ると、「うまいなあ!」と唸ってしまう。
永遠の青年という印象があった。永遠の反抗期を生きている人。だから、亡くなったと聞いて、とてもびっくりした。
いつだったか、何気なく読んでいた週刊誌の中に、氏の文章を見て、その濃さに感服した。
同じ週刊誌に連載していた他の作家も有名な人たちばかりだった。けれど、ただおしゃべりをそのまま書いているみたいな文章が多くて、読み応えがなかった。ひとたび認められさえすれば、後はサラサラおしゃべり書くだけでお金もらえんのか。そんな感想さえ持ってしまった。
ところが、氏の文章は違った。彼は本気で書いていた。毎週毎週、本気で書いていた。しかも当時、氏は複数の雑誌に連載を持っていた。そして、そのどれにも本気で書いていたはずだった。
書くということは、こういうことなんだな、と思った。読み終わったら駅のゴミ箱に放り込まれる週刊誌に書く時ですら、書くということは、こういうことなんだ。
テレビでサングラスをかけ、酔っぱらいみたいに歌い踊る氏を見ながら、私は、この人は恐ろしく誠実な人なんだと呟いていた。
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