2015年12月6日日曜日
一見、宗教の戦いであるかのように聞こえる。神という言葉を持ち出されると。でも、彼らの動機は、本当に宗教なのだろうか。
近代以降、「勝ち組」になった国々と、そのとばっちりを受けた国々があった。世界のルールを決めてきたのは、「勝ち組」になった豊かな国々だった。彼らは時に、よその土地に国境線を引くことすらあった。定規で引いたかのような、真っすぐな線。(日本も、「勝ち組」に追いつけ追い越せでやってきた。植民地さえ持った。)
「勝ち組」にとばっちりを受けた人々の中には、恨みを募らせた人たちがいる。さらにその中に、組織的な暴力に訴える者が出てきた。
ISの誕生にしても、アメリカのブッシュ前大統領によるイラク侵攻が絡んでいるではないか。ブッシュ政権は徹底的にスンニ派を排除した。その結果、職を追われたスンニ派の元将校たちは地下に潜ったという。
その中に、ISの誕生に重要な役割を果たしたバクルという人物がいる。彼は、イスラム主義者ですらないらしい。それにも関わらず、彼は聖職者のバグダディを正式なリーダーに据えた。宗教的な装いで、民衆を引きつけようとしたのだろうか。(このことに関する最近の日本語の記事はこちら http://www.huffingtonpost.jp/2015/05/21/jeb-bush-isis_n_7418502.html)
歴史を遠く振り返れば、イスラムはいつも他の宗教を攻撃してきたわけではない。それどころか、後ウマイヤ朝、オスマン帝国、そしてムガール帝国では、かなりの宗教的自由が保証されていた。その証拠に、オスマン帝国には、当時ヨーロッパで迫害されていたユダヤ教徒が多く流入してきたことがわかっている。
考えれば考えるほど、近代以降の世界の歪みが、テロの生まれる土壌を作り出しているのだと思う。
20世紀、虐げられた人々の中から、ガンジーやキング牧師が現れた。彼らは非暴力の活動を繰り広げ、国際世論という強力な味方を得た。
テロリストたちの真の目的は何か。組織のリーダーたちと末端にいるテロリストたちでは、考えていることも同じではないだろう。
ISの重要人物バクルはイスラム主義者ではないと今書いたが、では、彼は何なのか。ナショナリストだということだ。
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