もう前世紀の話になりますが、フランスの地方都市でフランス語の夏期講習に参加し、色々な国から来た人々と友達になりました。
講習の後は、日本で知り合ったパリの友人宅にお世話になりました。イタリアから講習に参加していたG君もパリに何日か滞在するということでした。それではどこかで待ち合わせて食事でもしようか、という話に自然になりました。何を食べに行く?二人ともパリは不案内。
ぼくは何でもいいけど。
私はイタリア料理が大好き。フランス人の友達の家に泊まってるから、どこかおいしいイタリア料理の店を教えてもらっておくね。
当時の私は、フランスは食通の国なんだから、イタリア料理のおいしい店なんていくらでもあるはず、と思っていました。
フランス人の友人は、イタリア料理のレストランはあまり知らないということでしたが、一つ教えてもらった店に私たちは入りました。
二人ともパスタを注文。運ばれて来たパスタをフォークで口に入れた途端、私は真っ青になり、口ごもりました。
「ごめんなさい‥こ、これ、アルデンテじゃない‥」
パスタは、ふにゃふにゃだったのです。イタリア人をとんでもないところに連れて来てしまった!
しかし、正面に座ったG君はニコニコして
「アルデンテっていう言葉、よく知ってるね」
彼にしてみれば、イタリアの外でまともに茹だったパスタが食べられるなんて、最初から期待していないということだったのでしょう。
確かに、フランスの伝統には麺がありません。そして、何でも柔らかく煮るのが好きな人たちです。野菜でも、ピューレにできるくらい柔らかく煮るのが普通です。
日本には、蕎麦やうどんがあります。1分ゆですぎたら台無し、のびちゃったらおしまい、という感覚が身に付いています。
その後、パリの他のイタリア料理レストランでも、度々同じことを経験しました。パスタ以外の前菜、肉や魚料理がおいしくても、パスタのゆで加減はがっかり。ソースがおいしくできていても、パスタ自体の味や茹で方には何の拘りも感じられませんでした。
パスタ屋さんやピザ屋さん、パリにけっこうたくさんありますが、殆どのパリジャンにとって、安めにレストラン代をあげたい時に行くという感じです。日本を含め、アジアの料理もそんな位置にあります。もちろん、例外的に本格的な店もあれば、高い店もありますが。
ある時、郵便受けにレストランの宅配サービスのチラシが入っていました。その店では、ピザとスシを同時に扱っているそうです‥
こんなことがゆるされるのでしょうか?日本大使館とイタリア大使館は共同で抗議を申し込むべきだ‥
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