2018年1月26日金曜日

ウディ・アレンの傾向と対策


ウディ・アレンの映画を見ていてよく引っかかったのが、ピグマリオン・コンプレックスとでも言いたいような登場人物の性癖である。

源氏物語コンプレックスと言った方が日本人には通りがいいかもしれない。

源氏がまだ幼い紫の上を見初め、自分好みの女性に仕立て、 連れ添った物語。

子どもの成長を助けるというより、自分の保護下に置き、価値観を植え付け、自分の下に留まらせたいという欲求。

ただ、そうした欲求を持っていることと、それを実現に移すのとは大違いだし、精神的に影響を与えようとするのと、体に触るのとは大違いである。

作品と作家の実生活をゴチャ混ぜにするのは危険なことでもある。

が、少なくとも彼の作品を見ると、成長期の女の子に影響を及ぼし、ついでに恋してしまうという傾向は顕著である。

映画『マンハッタン』で、アレン演じる年上の男と付き合う若い女性を演じたマリエル・ヘミングウェイ(作家アーネスト・ヘミングウェイの孫娘)はこう語っている。

映画を撮った後、アレンは彼女の両親の家に来て、彼女をパリに連れて行く許可を得ようとした。
ヘミングウェイは、彼が自分に恋心を抱いていたように感じたと言う。
それは、多くの男性が自分よりずっと若い女性に向けるありふれた好意に過ぎなかったのでは、と。

映画の中では、アレン演じるテレビ・ライターは47歳。
17歳の女の子とプラトニックラブの関係にあるという設定だった。

ここで、彼が長年に渡って一緒に映画作りをしたミア・ファローを見てみよう。

彼女は何歳になってもどこか少女のような面影を持った女性だ。
体つきもそうだし、表情や雰囲気もそうだ。

一方で、彼女は彼と出会った時すでに俳優としてのキャリアがあり、彼に見出していただいたわけではない。
彼に作り上げられたわけでもない。

彼の豊かな教養に影響を受けることはあったかもしれないが、一般にカップルが影響し合うのと同じ程度のものだったのでは。

いわば、対等のパートナーだったと想像できる。

アレンはその後、ミア・ファローの養女である若い女性と結婚した。
彼の傾向を鑑みれば、驚くにも当たらない出来事である。

そのような「傾向」を持った年上の人と出会ってしまった若い人はどうしたらいいのか。

対策は大昔から次の二つと決まっている。

一つは、その人の名声や富、才能や教養を利用させてもらうこと。

もう一つは、とっとと逃げること。

どちらも犠牲を伴うかもしれない。

自らの意志に反して実害を被ってしまった場合は、告発するしか道はないだろう。
そして、その場合もやはり、犠牲を伴うのではないだろうか。


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