最近、「世界の○○」という言い方を、何度かニュースなどで耳にしました。
この「世界」って、どこのことなんでしょうか。
「日本と海外」という言い方をよくしますが、そんなものは存在しません。一つ一つの文化圏は、みな違うものです。
同じヨーロッパでも、フィンランドとイタリアでは大違いですし、隣国同士のフランスとドイツ、イギリスだってずいぶん違うものです。プロテスタントの国とカトリックの国という違いもあります。
日本は、古くから海外の情報を取り入れるのに熱心でした。世界は遠いところにあり、世界の進歩から遅れを取ってはいけないという意識がありました。文字を輸入し、高僧を招きました。遣唐使や遣隋使は、命の危険を冒してまで、海を渡って知識を仕入れに行きました。
どこの国もこんな風に国外の情報に敏感なわけではありません。国外の習慣や文化に殆ど関心を持たない人々もいます。
私はヨーロッパに15年以上住みましたが、世界的に有名な芸術家について、「世界の○○」という言い方は、一度も聞いたことがありませんでした。
例えば、フランス人歌手が珍しくアメリカのビルボードに載ったりすると、「彼はアメリカのビルボードに載った!」と言います。
アメリカは世界ではありません。
私たちはみんな、世界の一部を成しているのではないでしょうか。
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