2016年7月29日金曜日

外国嫌いと同国人嫌い 4

Photo credit: Falcon_33 via Visualhunt / CC BY-SA


ある時わたしは、セネガルの人とイタリアの町、ベローナを歩いていました。

彼とは仕事で一緒になり、仕事が終わった後のひと時、ぶらぶらしていたのでした。

突然、彼は壁に寄り掛かった一人のアフリカ人らしき人に近づき、熱心に握手をしました。

戻ってきた彼に、私は聞きました。

「お知り合いですか。」

「そうじゃないけど、彼もセネガル人なんです。」

「アフリカでも、セネガル出身だと見ただけでわかるんですか。」

「わかります。」

彼は、レオポール・セダール・サンゴールの、確か孫にあたる人でした。

サンゴールは、セネガルの初代大統領にして詩人。1983年には、アフリカ出身者として初の、フランス・アカデミー会員に選ばれています。

おじいさんから聞いた言葉として、彼はこんなことをみんなに話してくれました。

「世の中には、人と人の間に橋を作る人もいれば、人と人の間に壁を作る人もいる。」

写真は、パリのセーヌ川にかかるレオポール・セダール・サンゴール橋。

この橋がかかるパリで、私は、日本人びいきのタクシー運転手に遭ったこともあります。

その人もアフリカ出身者でした。

彼が言うには、日本人のお客さんが好きな理由の一つは、日本人が値切らないこと。

もう一つは、まだ駆け出しだったとき、とても寛容な日本人のお客さんに遭ったことだそうです。

その頃は、ナビなんてなくて、彼は目的地に着くまでさんざん迷ってしまいました。

でも、その日本人カップルは、少しも怒ることなく、楽しそうに笑っていたそうです。

すっかり遠回りして、ようやく目的地に着くと、その日本人たちは何も文句を言わず、遠回りした料金も払ってくれた。男性の方は彼の肩を叩き、女性は面白そうに笑っていた・・・

その話、十分に信じられます。

ただ、その同じ日本人が、新宿区で急いでいる時、日本人のタクシー運転手に同じ態度を取るかな、と、私は思わずにいられませんでした。

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