2018年3月6日火曜日
日本のおもてなし、ヨーロッパのおもてなし
フランスから日本に来たけっこう有名な某アーティストが、ある日親しくなった東京の美術館の人に食事に招待された。
彼は思った。
「お、珍しいな、日本で。」
彼は期待した。
そしてがっかりした。
なぜか。
彼はとてもいいレストランに招待されたのに。
最近日本でおもてなしという言葉が使われると、観光の場面であることが多いようだ。
フランスやベルギーでは、最高のおもてなしとは自宅に招くことだ。
貴重な時間を割いて何を出すか決め、材料を選び、自分で料理を作る。
家族と自分の個人的な空間に相手を招き入れる。
自分の家族を相手に紹介する。
相手の連れ合いも必ず一緒に招く。
高級なものを出す必要はない。
場合にもよるが、一般的には普段の食事+アルファで十分である。
くだんのアーティストもそれを期待したようだった。
今度こそレストランではなく家に招待されるんだ、と思っていたのに当てが外れたということだろう。
フランスやベルギーでは、若者からお年寄りまで、親しくなった人を自宅に招かない人は珍しい。
一人暮らしで狭い部屋に住んでいる場合、「うちは無理だから今度姉の家に来て」とか
「うちはほんと狭いけど、元妻が出張のとき子どもの世話をしに行くから元妻の家に来て。」
とかいうパターンはある。
もちろん元妻も子どもたちも承知の上だ。
行ってみると他にも何人も人が来ていて、楽しい出会いがある。
招かれたら招き返すのがルール。
招かれっぱなしは評判が悪い。
例外は学生くらいのもので、留学して狭いアパルトマンに住んでるのに無理して招くことはないと思う。
ただ、学生同士で集まるということはよくあるようだ。
もちろん、あまり知らない人を一人暮らしの部屋に招いてはいけない。
自宅に招くのが一番のおもてなしだというのは、信頼を示しているからでもある。
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